タルタロスとは
原初の神カオスより生まれた原初の神々の1人で奈落の神です。奈落そのものの名前でもあります。
カオスから生まれた時の神の中で、大体最初に名前が出てきます。
冥界という地下の世界のさらに下の世界という位置づけで、後世(プラトーンなど)には地獄とされる世界になります。
だんだんと冥界と同一視されるようになりました。
こういった概念が他の後発の宗教に何らかの影響を与えているのか、似たような概念が結構出てきます。
まあ、悪いものが暗い洞窟や、その先にあって、その洞窟の先がこの世のものではない世界、というのは想像しやすいので、そんなイメージがついているのかなと思います。
その時の支配者である神々への反逆者などが落とされる牢獄としての役割が強い場所でもあります。
神話の中のタルタロス
タルタロス自体の意思的な話よりも、反抗した人を閉じ込める牢獄として、タルタロスは良く出てきます。
例えばヘカトンケイルは父ウラノスによってタルタロスに封じ込められます。
ヘカトンケイルとは兄弟族になるキュクロープス(サイクロプス)もタルタロスに閉じ込められます。
またティーターン族はゼウスによってタルタロスに閉じ込められます。その時の番人はヘカトンケイルでした。
タルタロスの子とされるテューポーン
テューポーンという神がギリシャ神話にはいます。
出自に関してはさまざまな異伝があるのですが、最も有名なのは大地母神ガイアとタルタロスとの間の子である、というものです。ゼウスに対するガイアの怒りが、テュポーンを生み出したという逸話があります。
テューポーンは腿から上は人間の造形だけど、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形、という神様です。手を伸ばせば世界の東西に届くぐらい、非常に大きな体をしています。
テューポーンはゼウスと戦いますが、戦いに敗れ、タルタロス送りにされます。
その他にも異説があります。一度はゼウスに勝ってゼウスを閉じ込めるけど、ゼウスは味方に助けられ、再戦して結局テュポーンが負けるというものです。テュポーンはエトナ火山(シチリア)の下敷きにされ、テュポーンがもがくと火山が噴火する、なんてことになっています。
こういう話からも、なんとなくタルタロスって神様っていうよりはそういう場所の名前という形で使われることが多いな~ということです。カオスの時も似たようなことを思ったのですが、後から名前を付けた神様なのかな~と思ったりします。