カットボールとは【野球用語集】

スポーツ野球

カットボールとは

カットボールとはスライダーと同じ方向に曲がるボールですが、曲がり幅は少なく、打者の手元で動く球種を言います。野球の球種の1つです。

カットボール・ファストボール、カッターなどとも言います。

ストレートとあまり変わらない球速で、バッターの手元で少し曲がります。ツーシームとは逆側に動くムービング・ファストボールになります。

日本でMLBの知名度が上がるまでは、日本ではほとんど投げるピッチャーはいませんでしたが、メジャーリーグの知名度が上がるにつれて、日本でもカットボールの使い手が増えてきた印象です。

現代では多くのピッチャーが持ち球にしています。

昔日本ではストレートとスライダーの間ぐらいの変化の球を「真っスラ」と呼んだりしましたが、カットボールと近いボールになります。

握りはスライダーに近いことが多いようで、フォーシームを投げる時に中指をどのぐらいずらすかで変化量をコントロールすることが多いようです。

右ピッチャーの場合は左バッターのインコースに食い込ませて打ち損じを狙ったり、右バッターのアウトコースで逃げる球、インコースにフロントドアのように使う、など様々です。

フォーシームのつもりで打ちに来るバッターに、フォーシームと誤解させることができると、非常に有効なボールです。

カットボールといえばマリアノ・リベラ

もともと日本ではあまり投げる人がいないボールで、日本人がMLBに参加するようになり中継が増えることで知名度が上がった印象がある球種です。

カットボールといったら、元ヤンキースのマリアノ・リベラでした。

手もとに動くカットボールで打者のバットを折りまくったピッチャーです。

彼はほぼカットボールしか投げないのにMLB19年で652セーブを上げました。

また、日本では元中日の川上憲伸さんがカットボールで有名です。

・カットボールの特徴

カットボールはストレートとほぼ変わらない球速ながら、打者の手元でボール1つ分程度鋭く変化するのが特徴です。正式には「カット・ファストボール」という名称で、「高速スライダー」や「真っスラ」、「カッター」などと呼ばれることもあります。

右投げの場合左手側に、左投げの場合は右手側にスライドするためスライダー系の変化球に分類されるほか、ツーシームなどの変化球と同じく変化する速球「ムービング・ファストボール」の一種と考えることも可能です。

小さく横に滑りながら少し沈むのがカットボールの一般的な特徴ですが、投手によっては縦や斜めに落ちる変化の軌道を加える場合や、スライダーとカットボールの中間くらいの球速と変化量で打ち損じと空振りを同時に狙う場合もあります。後者の球は近年「スラッター」などと呼ばれ、プロ野球でも急速に普及し始めています。

肘や手首をひねる必要がなくストレートと同じ投球フォームで投げられる変化球なので、身体への負担が少なく投げやすい点もカットボールの特徴と言えるでしょう。

・カットボールの効果的な使い方は?

右投手がカットボールを投じる場合は、左バッターの内角に投げこんで詰まらせる、右バッターの外角で変化させて打ち損じやゲッツーを狙うというのが最も効果的な使い方です。

あくまでもストライクカウントを整えたり、バットの芯を外してバッターを打ち取ったりすることがカットボールの目的なので、三振を狙う決め球としてはあまり向いていません。変化量がボール1つ分程度と小さいため、甘いコースに投げてしまうと長打を打たれる危険性もあります。

しかし、カットボールを上手く使うことによりゴロアウトを増やして投球数を減らせるので、試合時間の短縮や投げすぎによる怪我のリスクの低減が期待できます。特に球数制限が設けられている試合の場合、カットボールは非常に有用な変化球です。

メジャーリーグには投球割合のほとんどがカットボールながら打者を圧倒したピッチャーがいることから見ても、質の高いカットボールの効果は絶大だと言えます。

また、カットボールはストレートと球速や投球フォーム、リリースポイントがほぼ同じという特徴があるので、特に直球のスピードや球威で押すタイプのピッチャーの場合、カットボールを投げられると投球の幅が広がります。握り方や投げ方を工夫して、変化の異なる複数のカットボールを投げ分けるのも良いでしょう。

チェンジアップのような変化球を使い、緩急も交えてバッターのタイミングを外せるようになると、打ち取れる可能性が更に上がります。

逆に言えば、カットボールの使い勝手はストレートの球速や質に左右されてしまいます。ストレートが遅かったり回転数が少なくノビのない球だったりする場合は、カットボールは十全の威力を発揮しません。

カットボールのスピードが遅く曲がりが大きすぎたり、変化するタイミングが早すぎたりするなど、ストレートとの見極めが簡単な場合も同様です。

カットボールは非常に使い勝手が良い変化球ですが、どのような握り方で投げるのでしょうか。ここでは、カットボールの基本的な握り方や、注意したいポイントをご紹介します。

・基本はストレートのような握り方

カットボールの基本的な握り方はストレートとほとんど同じです。

まずはボールの縫い目(ヤマ)に、人差し指と中指の指の腹を引っかけるように握ります。この時、親指は立てるようにして、人差し指側の側面をボールにつけましょう。

上記は一般的なストレートの握り方になりますが、そこから人差し指と中指を少しボールの外側(右投げの場合右側)にずらし、握る際の重心をボールの外側へ持っていきます。人差し指がボールの中心に来る程度が、カットボールを投げる際の指の位置の目安です。

指がボールの外側にかかっているので、ストレートと同じ感覚でボールを投げることで自然とスライダーのような回転がかかり、ボールはストレートに近い球速で小さく横変化します。

また、ストレートと全く同じ握りから、リリースの際に中指でボールを押すように投げることでもカットボールになります。

この投げ方だと球速は出ますが変化量は小さくなるので、自分の投げやすさや求める球質によって使い分けると良いでしょう。

・握り方のポイント

カットボールを投げる際はボールをあまり深く握りすぎず、軽く握るようにしましょう。軽く握ることにより、人差し指と中指を使ってボールにかかる回転数を増やすことができます。

この握り方は、ストレートを含めた全ての球を投げる際のポイントになるので覚えておきましょう。

また、人差し指は親指とまっすぐ軸で結べる位置にずらします。この時、ボールを握る3本の指先をしっかりと縫い目にかけることが大切です。指が縫い目にかかっていないとボールのコントロールができないだけでなく、ボールに回転がかからず変化しなくなってしまいます。

ボールを握る際は、人差し指と中指を大きく横にずらすほど球速は遅く変化量が大きくなり、スライダーに近づいていきます。逆に、指のずらしが小さいほど球速は出ますが変化量は小さいです。

基本的には、球速が速く変化量が小さい方が効果のあるカットボールなので、指をそこまで大きくずらす必要はありませんが、ボールの握りやすさは人によって異なります。

どのような意図でカットボールを投げるのか、自分が握りやすく変化させやすいのはどこかなどを考えながら、ボールを握る位置を工夫すると良いでしょう。

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